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2009年 03月 04日
出生前診断について
出生前診断とは、胎児の身体的状態や遺伝的性質、性別などを診断することである。 出生後の診断は、治療や療育を行なうために実施されるのに対し、 出生前診断は、人工妊娠中絶に結びつく危険性があり、 人間の生命を障害の有無によって選別することであるため倫理的問題がある、 という指摘もある。 出生前診断により、早期に治療を開始することができるという点においては、 私も出生前診断には賛成である。 しかし、それ以外の、 胎児に異常があった場合には中絶という選択肢を前提とした出生前診断には反対である。 それは、生命とは、卵子と精子が受精した瞬間から始まっているのであり、 父親や母親とは異なる生命がその時からすでに始まっているのだと、 私は思うからである。 私がこのように考える根拠は個人的な思想や倫理的立場からのみではない。 現代遺伝学の立場からみても、受胎の瞬間から受精卵の中には、 その生命体が将来何になるかというプログラムが組み込まれている、 ということが分かっている。 このように受精卵は一人の人間、しかも、 特定の特徴をすでに備えた一人の個人であるのだから、 受精したその瞬間の胎児、あるいは受精卵一つも、 最高の配慮がなされなければならないと、私は思う。 断種法、ナチス優生学、優性保護法、母体保護法などを見ると、 いつも時代も、今生きている人間、より発言力のある人間の都合により、 弱い立場の命が脅かされている。 私自身、初めての妊娠の時、 子どもの父親だった現在の夫と、まだ婚姻していなかったことから、 両親から中絶を迫られた過去がある。 たった一つのかけがえのない命よりも、 世間体ということが優先されそうになったのである。 マザーテレサはこう言っている。 「どんな恐ろしい戦争も驚くには値しません。 平和を破壊するもっとも恐ろしいものは堕胎です。 なぜならその子を殺すのは母親自身だからです。」 自分達の都合で平気で中絶できる世の中ではなくならない限り、 このもっとも無力な受精卵や胎児の命に、 どんなときも最高の配慮がなされる世の中にならない限り、 戦争もなくならないのだろうと私は思う。 医療従事者として、より弱い立場の人間の声に耳を傾けられる人間でありたい、と思う。
by love-the-life
| 2009-03-04 10:08
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